ストーリー
原作:岩 田 豊 雄 脚本・作曲・演出:高 井 良 純 演出:茂山千之氶
時は数世紀程昔、場所は筑紫辺りの話。娘ふくなの村に、唐の国から流れついた五運拙。やがてふくなと夫婦になった五運拙は、村人達に釣針の作り方、字の書き方を教えながら暮らしていた。そんな生活の中、日本の風に習えと着物を押しつける妻ふくなに五運拙は怒り、喧嘩になってしまう。二人の仲を元にもどそうと、ふくなの伯父平六は、五運拙を唐風にもてなす事をふくなに勧める。
ある日、五運拙が家に戻ってくると、故国の食器や食べ物が並べられ、ふくなが眉をひき頬紅を円く塗った驚くべき厚化粧で現れる。ところが、ふくなの思惑に反し、酒を勧められた五運拙は、酔いがまわるにつれ、故国が恋しくなり「唐国妻恋」とわめき始める。
始めは何の事か分からなかったふくなもついにその意味を理解し、「さても憎や腹立ちや、こらしめてくるるぞ!」と打ってかかる。二人の間に割って入る平六や村人達・・・。
所詮、東は東、西は西、人の心は変えられぬ、と歌う。
初演1970年5月30日